2022年6月24日、NTTが発表した大胆な働き方制度改革に僕は驚きを隠せませんでした。
適用は7月からで、対象者は国内の主要グループ会社従業員3万人にのぼります。
タイトルは、『リモートワークを基本とする新たな働き方導入について』。
NTTは今までもテレワークを制度化していたそうですが、それに『リモートワークスタンダード』という新ルールを追加します。
その内容は、
【勤務場所】事業所 → 自宅
【テレワーク手続き】申し出・承認要 → 申し出など不要
【出社の扱い】通勤(通勤費) → 出張(旅費)
【居住地】勤務する事業所の周辺 → 制限なし
となっています。
要約すると、基本テレワークなので、イチイチ申請はいりません。
もちろん、どこに住んでも構わないし、もし出社する場合は出張扱いとなり、旅費や出張手当が支給される。
しかも、飛行機を使って出社してもOK。
旅費に一律の上限はないのでご安心を、ということ。
これを聞いて僕が一番最初に思ったことは、
「嘘だろ?」
「これで会社成り立つのかな?」
「対象は社員全員?」
ということ。
そう思う方は多いかと思います。
ですが、NTTの新社長である島田明社長はどうも本気のようです。
今回は、
なぜNTTは『リモートワークスタンダード』を導入することにしたのか?
他の企業の動きはどうか?
今後日本経済にどういう影響を与えるのか?
僕の考えをお伝えしたいと思います。
なぜ『リモートワークスタンダード』を導入したのか?
なので、企業としては、「リモートワークは取りやめたい。」というのが本音だと思います。
一方で、従業員としては、「リモートワークに慣れてしまったからこのまま続けてほしい。」というのが本音だと思います。
ではなぜ本音ではリモートワークを取りやめたいであろうNTTが『リモートワークスタンダード』を導入したかですが、
優秀な人材を引き留め、確保するためだろうと推測します。
労働環境が悪くなれば、労働環境が良く、給料も高くなる外資系企業などに転職するリスクが大きくなります。
そのため、どこよりも早く「当社は従業員のことを大切に考えている企業です。」とアピールすることによりそのリスクを回避しようとしたのだと思います。
ただ、基本リモートワークということは、転勤もないでしょうから仕事がマンネリ化する可能性もありますし、生産性の低下もあると思います。
そこの問題をどうクリアしていくかは非常に大きなポイントになります。
ちなみに、今回対象になる国内の主要グループ会社従業員3万人は全従業員の約半数で、対象になるかどうかは課ごとで決まるほか、従業員本人が希望した場合も可能だそうです。
他の企業の動き
例えばホンダ。
ホンダは5月から全従業員を対象に週5回の出社を原則としています。
その他の企業も、全面リモートワークと判断をする企業はごくわずかで、出社とリモートワークを組み合わせた『ハイブリット型勤務』を模索している企業が多いようです。
その大きな理由が、アメリカで『ハイブリット型勤務』が増えつつあること。
あのグーグルとアップルも4月から『ハイブリット型勤務』をスタートさせています。
この勤務形態ならば、最低限の生産性を確保しながら優秀な人材が離職したり、採用力が落ちる懸念も最小限に抑えることができるだろうとの見立てです。
また、今後の状況がまだまだ不透明であることもあり、状況の変化によって出社にもリモートワークにも切り替え易い点もこの勤務形態が選ばれる理由になっていると思います。
今後、日本経済へ与える影響
僕は、さらなる人材の流動化と地方の活性化が起こると予想しています。
コロナ禍でリモートワークが増え、東京都内から、東京近郊へ引越しする人が増えたなんて話はよくありましたが、NTTのようになればもう出社の必要はありませんし、もし出社しなくてはいけなくなっても全額会社負担になります。
ならば、東京近郊に住む必要性もなくなってしまいます。
沖縄でも北海道でも何ら問題ありませんし、僕の住んでいる徳島からでも飛行機で1時間程度で東京には着いてしまいます。
ようするに住む場所は全く関係なくなってしまうということです。
近年自然のなかで暮らしたいと考えている人は増えていますし、元々田舎暮らしに興味はあったけど、地方には仕事がないからとの理由で諦めていた人が地方へ移住し、地方経済が活性化する可能性は高いと思います。
また、6月27日の厚生労働省審議会で政府は、副業を認める企業を増やすことを目的に、企業に対し、副業や兼業を認めているかどうかなどの情報開示を求めることを決めています。
リモートワークは移動時間削減により、時間の創出を容易にするため、副業との相性が非常に良いです。
新しいスキルを学ぶことにより、キャリアアップのためさらに良い条件の仕事へ転職するなど、人材が流動的に動き出すと思います。
そうなれば、日本経済が復活し、日本株も上昇トレンドへ回帰するのではないかと期待しています。
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