ブログを書いている2022年3月7日現在、
ロシアによるウクライナへの侵略とともに話題になっている事件があります。
それが、僕の元職場であるSMBC日興証券による相場操縦疑惑。
これにより既に役員を含む4人の幹部が逮捕される事態になっています。
ですが僕個人的な見解としては、表面にでているのはまだまだ『氷山の一角』であり、
これからたくさんの疑惑がでてくるだろうと考えています。
もし相場操縦が認定されれば、それは犯罪ですから、
営業自粛
営業停止
といった処分もまぬがれないだろうなと思います。
SMBC日興証券にとって、こういう事件は今回が初めてではないんです。
反省しては事件を起こし、また反省してはまた事件を起こすを繰り返してきた歴史があります。
それもあり社名も、
日興証券 → 日興コーディアル証券 →SMBC日興証券
と変わってきたんです。
OBとしては今回こそは真摯に反省し、二度とこんなことが起こらない組織づくりをしてもらいたいと思います。
しかし今回の事件、「自分には関係ない。」と思っている方多いのではないですか?
実は、一般の方も知らず知らずのうちに株取引のルール違反を犯し、課徴金や罰金、懲役といった罰則をかけられるケースがあります。
違反をした場合、「知らなかった。」では済まされません。
今回は一般の方でも陥りやすい不正取引4つについて説明したいと思います。
仮装売買・馴合売買
例えば、Xという株を保有している投資家Aさんが、Xの株価を上げることを目的として、
頻繁に取引が行われていると誤解させるために、同じ時間帯に同じ値段での売り買い両方の注文を発注し約定させることがこれに当たります。
これをしても投資家Aさんにとって本来何の経済的メリットもありません。(手数料分だけ損をする。)
ということは、『市場を混乱させようとしている』と見られてしまうんです。
この仮装売買の審査は証券会社だけではなく、金融商品取引所や証券取引等監視委員会でも行われています。
実際に、前職時にそれらの審査機関から何度かお客様へ取引意図をヒアリングするよう指示がきたことがあります。
そんなに大きな金額の取引ではなかったのですが、そういう指示が来たので、
金額の大小は関係ありません。気を付けてくださいね。
ではどういうケースの時にこの違反を無意識に起こしやすいか説明します。
それは、年末に税金調整のため損出しや益出しをする場合です。
損出し・益出しとは、売る気はないけれど、今年中に売っておくと税金がお得になるため一度売却する行為です。
この場合、税金のために売却するだけであって、手放すつもりはないので、売却と同時に買戻しをしようとする方がいらっしゃいます。
このケースは、売買の期間が極端に短かったり、値段が同じだったりすると、違反認定される場合があります。
故意かそうではないかも関係しますが、そこの証明は非常に難しいです。
なので、時間を空けたり、値段を変えるなどの対処を取ることをオススメします。
また、『馴合取引』とは、同期間、同じ値段での売買を自分1人ではなく、家族や友だちと結託して行う取引です。
「名義が違えばバレないだろう!」そう考える方もいるかもしれませんが、バレますのでご注意ください。
インサイダー(内部者)取引
関係者は一般の方よりも早く情報が入るので、これをすれば儲かります。
ですが、市場は公正ではないといけませんので、これは立派な違反になります。
ここで注意すべき点が、『上場会社の関係者等』という部分です。
上場会社の関係者はなんとなくわかると思うのですが、この『等』には何が含まれるか知らない方が多いと思います。
ここには、関係者の家族、帳簿閲覧権を有する株主や、取引業者、退職して1年未満の方も含まれます。
また、その『関係者等』から話を聞いた友だちや他人も対象になります。
居酒屋の横の席で飲んでた人が大きな声で、「X社がY社を買収する。」としゃべっていたから、その情報をもとにY社株を買ったら、インサイダー取引とみなされてしまった。
なんていうケースもありますのでご注意ください。
風説の流布
僕はあまり観ませんが、
掲示板
SNS
などには、無数の情報があります。
その中には、
「この銘柄明日爆上がりします。」
「この株は終わり。早く売らないと知らないよー。」
「明日10万株買います。」
など、まったく根拠もないし、本当かどうかもわからない情報がいっぱいあります。
僕ならば、「この株は終わり。早く売らないと知らないよー。」というメッセージが掲示板にあれば、
「あーこの人、みんなに売らせてちょっとでも安く買いたいんだな。」としか思わないのですが、真に受ける方もいらっしゃいます。
これらは風説の流布に当たる可能性が高いです。
あまりにも酷いと罰せられる場合があります。
仮名・借名取引
個人的にはこれ(借名取引)が一番陥る可能性の高い違反だと思っています。
『仮名取引』とは、架空の名義や他人の名義を使って行う取引をいい、
『借名取引』とは、家族や知人などの名義を借りて本人になりすまして行う取引をいいます。
株式の取引は自分の名義で行うことが大前提です。
夫婦といえどもその大前提は変わりません。
ですから、「本人の許可を得てるから。」といっても取引はできません。
また、マネーロンダリング(資金洗浄)に使われる可能性もありますので注意しましょう。
いかがでしょうか?
意外と身近に落とし穴があることをご理解いただけたかと思います。
「株取引はすごくいいものだ。」と思っているので、
ルールを守って、楽しく(苦しい時もありますが・・・)取引してもらえたらうれしいです。
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